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宮崎地方裁判所 昭和45年(わ)132号 判決

本籍ならびに住居

宮崎県延岡市桜小路三七一の一

森建設合名会社代表社員

森重喜

大正七年三月二〇日生

本店所在地

宮崎県延岡市出北町一丁目三一六番地

森建設合名会社

(右代表社員住居、氏名前記 森重喜)

右両者に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官林信次郎出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。

主文

被告人森重喜を懲役八月に、

被告人森建設合名会社を罰金三〇〇万円に

それぞれ処する。

被告人森重喜に対し、この裁判確定の日から二年間

右刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人森建設合名会社は、昭和二六年製罐、鉄工総合建設、建築工事を目的として資本金一五〇万円(昭和四四年一、〇〇〇万円万円に増資)で設立され、宮崎県延岡市出北一丁目三一六番地に本店を置き、従業員二〇〇名ないし三〇〇名で鉄骨工事を主体とした事業を営むもの、被告人森重喜は、被告人会社の代表社員としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人森重喜は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、昭和四一年七月一日から昭和四二年六月三〇日までの事業年度において、所得金額が三七、七五五、三八九円で、これに対する法人税額が一二、八九九、一〇〇円であるのにかかわらず、工事収入金を除外するほか、公表経理上架空仕入れおよび架空労務賃を計上する等の不正の行為により、所得を秘匿したうえ、昭和四二年八月三一日同市東小路所在延岡税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六、七四一、五二八円でこれに対する法人税額は二、〇五七、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右事業年度の法人税額一〇、八四一、八〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書(三通)および大蔵事務官に対する質問てん末書(八通)

一、大蔵事務官作成の告発書、脱税額計算書および脱税額計算説明資料

一、松田英夫の検察官に対する供述調書(二通)および大蔵事務官に対する質問てん末書(一〇通)

一、松田英夫作成の上申書(三通)

一、森トキエの検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する質問てん末書(五通)

一、延岡税務署長久保田忠作成の「修正申告書(写)の提出について」と題する書面および納税証明書

一、安倍良一作成の証明書

一、押収してある印鑑およびゴム印(一三ケ)、総勘定元帳(一冊)、支払手形綴(二綴)、賃金支払簿(一冊)請求書見積書綴(一綴)決算資料綴(一綴)および法人税申告書(一綴)(昭和四七年押第五二号の一ないし八)

(法令の適用)

被告人森重喜の判示所為は法人税法一五九条一項(七四条一項二号)に、また被告人会社の判示所為は同法一六四条一項、(一五九条一項、七四条一項二号)にそれぞれ該当するところ、被告人森重喜については所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で同被告人を懲役八月に処し、犯情により刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。また被告人会社については所定金額の範囲内で罰金三〇〇万円に処することとする。

(裁判官 七沢章)

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